今年は2年に一度の東京モーターショーが開催されるなど、自動車業界が脚光を浴びる一年となっていますが、世間では最近ある異色を放つ斬新な新車CMが注目を集めています。
それが、人気俳優・窪田正孝さんが出演するダイハツのコンパクトSUV『新型ロッキー』なのです。ロッキーといえば、ある人にとっては名作ボクシング映画を連想される方が多いと思います。
しかし、ダイハツにとっては知る人ぞ知る名車であり、国内で1990年から1997年まで発売されていた人気のクロカンモデルでした。
それが、20年以上の歳月を経過してモデルネームとして再び発売されるのは感慨深いものがあります。それでは、新型ロッキーの復活に相まって、ロッキーのおすすめグレード、話題のCM、ライバル車との比較など多面的に紹介させて頂きます。
出典:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/rocky/
新型ロッキーなのに復活!? ダイハツがロッキーの車名復活!
今回のダイハツ 新型ロッキーについて、これまでの新型車発売のニュースや話題とは違い、ちょっとした違和感を感じた方もいらっしゃるでしょう。
その違和感の正体は
『ダイハツ 新型ロッキー 復活か!?』
というちょっと聞き馴れない言い回しの言葉ではないでしょうか。
日本語の文法上で考えてもおかしいですよね。何しろ”新型”と”復活”がセットになる事って。かなりのレアケースですよね。
通常なら、”新型”に対して”登場”や”発表”という文字が躍るのが慣例でした。それが、”復活”となると違和感と同時に興味が出てくるので、不思議なものですね。
ダイハツの初代ロッキーは1990年に登場し1997年まで国内で販売されていた(海外では2002年まで発売)、云わばダイハツを象徴する隠れた名車です。本格四駆に採用されるラダーフレームに1600ccエンジンを載せ、位置付けとしてはジムニーより上でランクルなどよりは下のボディサイズ・カテゴリーとして、クロカンらしさを追求した一台でした。
余談ですがロッキー名前の由来は、名作『ロッキー』・・・。ではなく『ロッキー山脈』からきているとのこと・・。
しかし、2000年頃から始まった本格的な軽自動車人気や燃費至上主義の中で、徐々に存在感を発揮できず、またダイハツもムーブやタントなどファミリー向けの車に主軸を移した事で姿を消していったのです。
そのロッキーが突如、17年ぶりにモデルネームとしてですが、復活をする事になりました。
実際に、初代ロッキーとこの度発売された新型ロッキーは名前こそ同じですが、見た目やコンセプトも全く別物。
またダイハツの「ロッキー」はトヨタの「ライズ」という車名でOEMとして発売される事で、ダイハツやトヨタやSUVが好きな人だけでなく、話題のインパクト大のCMの影響もあって幅広い世代から注目を集めています。
新型コンパクトSUVとは?
ロッキーについて解説する前に、皆さんは「コンパクトSUV」というジャンルをご存知ですが?
何となく曖昧にとらえている方も多いと思います。ウィキペディアから抜粋すると、「ミニSUVよりも大きいが、ミッドサイズSUVよりも小さいクラスの小型スポーツユーティリティ車」となるそうですが、あまりにも漠然として分かり辛いですよね。
日本では「小型SUV」と「コンパクトSUV」はほぼ同じ意味で使われ、具体的にはエンジン排気量が1000cc~1500cc、オフロード走行に対応した車、又はオフロード車風の外観を特長とする車といった感じです。
現在人気がある国内メーカーのコンパクトSUVは、
・トヨタ…CH-R
・日産…ジューク
・ホンダ…ヴェゼル
・スズキ…エスクード
・三菱…エクリプスクロス
・スズキ…イグニス
・スズキ…クロスビー
以上の様な車となるので、何となくボディサイズなどが想像できますよね。
よってこれらが、ロッキーやライズの当面のライバル車となります。
新型ロッキーの排気量は1Lで、その点を考えるとスズキのイグニス・クロスビーあたりと同様ですが、外観的にはトヨタのCH-Rなど今人気のSUVといったところです。
また、場合によってはジムニーやキャストなど軽自動車を含めて「コンパクトーSUV」や「小型SUV」として紹介する事もあります。この辺りはアバウトですが、あまり目くじらを立てる必要もないでしょう。
窪田正孝さん起用でCMから見るダイハツのロッキーへの本気度
新型モデルの発売が決定すると、各メーカーはCMや雑誌などで大々的にアピールをします。
軽自動車なら燃費や室内空間を女性やファミリー層に向けて、これがクラウンなど高級車なら中年世代などに走行能力や豪華さ、若者向けの車なら楽しさやカッコ良さ、さらに今風のトレンド感などを訴えるのが主流でした。
では、窪田正孝さんが出演する新型ロッキーCMはどうかと言うと、これが80年代や90年代の世界観で近未来を表現するというかなり特長ある内容に仕上がっています。宇宙飛行士に扮した窪田さんが、未知の惑星で発見したロッキーに心が奪われ、その走行性能や広さ、洗練されたデザインの魅力に嵌まるというものです。
何よりも、「オアシス」編CMでの同乗している宇宙人が発するセリフ「ロッキー、ソニポンヨリカッコイイ」、「ロッキー、ソニポンヨリ加速イイネ」。この二つのセリフが謎めいていて一瞬意味不明な事もあり、話題となっています。
”ソニポン”が何かと言うと、それはこの未知なる惑星の謎の生物で、人や宇宙人を載せて高速移動ができる事から重宝されている設定なのでしょう。そんな生物よりも、ロッキーの方が優れていると訴えるのは、これまでの自動車CMとはまったく違ったコンセプトに仕上がっています。
また出演している窪田正孝さん自体も、自他ともに認める車好き&洗車好き。そんな窪田さんを起用したあたり、ダイハツの新型ロッキーにかける思いが感じされます。
ダイハツ側がこれだけ攻めたCMを作ったのに対し、OEMであるトヨタの「ライズ」CMと比較してみると、逆に従来のダイハツみたいな仕上がりになっています。親子で楽しめる車を全面的に押し出しています。有名芸能人が出演している訳でもなく、かなり地味な仕上がりというのが素直な感想です。
何より、ロッキーのような印象的なフレーズがないのが残念ですが、それでも車の良さが伝わる暖かみがあります。対比するなら、ロッキーは”宇宙”や”未来”であり”非日常”、ライズは”親子”であり”日常”といったところでしょうか。
ロッキーの外観はアウディと似てる?
ロッキーの外観はSUVでありながらスポーティーさもあり、今風のデザインとなっています。
一目でカッコよく洗練されていると感じますが、逆に捉えると現在人気の車のデザインと似たような印象を持ってしまうのも事実です。
出典:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/rocky/
発売前から外観が発表された段階で、
・アウディQ2に似ている
・ミニRAV4に見える
・ボルボSUVみたい
・C-HR似の顔
などの声がネット上には出ています。しかし、これは何もロッキーだからという訳ではなく、注目の人気車が登場すると必ず言われる恒例行事のようなものです。
個人的にはスズキ、ホンダの同タイプの車と外観が似ている気もしますが、許容範囲ですし問題ないですよね。正面から見てグリルを印象深くして、ライトを細長くすると、どの車も似た印象となるのは、ある意味で致し方ないのです。
ロッキーを買うならおすすめグレード、カラーは?
ロッキーのグレードは最上級「プレミアム」から廉価「L」まで、全4種類です。
・プレミアム…220万円(2WD CVT 小売価格)
・G…200.2万円(2WD CVT 小売価格)
・X…184.8万円(2WD CVT 小売価格)
・L…170.5万円(2WD CVT 小売価格)
性能について、新型ロッキーには今では当たり前の先進安全性能「スマアシ」が全グレードに採用されているので、廉価「L」でも安全面のぬかりはないです。
エンジン排気量もどれも同じターボ搭載1000ccで、JC08モードの燃費は全グレード2WDと4WDに関係なくリッターあたり20キロを上回るので大変優秀です。これは、コンパクトSUVのガソリン車における燃費ナンバー1です。
これらから最も価格が安い廉価「L」グレードでも満足度が高いですし、またメーカーは最上級「プレミアム」を推していますが、個人的には今回の押しのおすすめグレードは「Gグレード」かと思っています。理由として、「プレミアム」と遜色ない装備に加えて、全グレードでいちばんボディカラーが豊富だからです。折角新車でこんなに魅力ある車を購入するなら、お気に入りのカラーを選びたいですよね。
今回のCMで特に強調されている色は何と言っても『赤』ですよね。ロッキーのCM全体が赤をメインにといよりは、赤一色で構成されています。ここまで、一つの色に拘ったCMも中々無い物です。しかも、今回ダイハツのおすすめであろう赤は「コンパーノレッド」と呼ばれ、光が当たると朱色に輝く高彩色な新色となっています。
このコンパーノレッドの由来は、ダイハツが初めて手がけた小型車コンパーノにあります。カラーでもダイハツの継承と挑戦に挑んでいるのです。
CMでお馴染の強烈なインパクトを与える赤(コンパーノレッド)、しかも2トーンカラーは「G」グレード以上なので「ブラックマイカメタリック」と「コンパーノレッド」の組み合わせは、新型ロッキーのお勧めのカラーで間違いなしです。
一方トヨタのライズで、CMに使われているカラーは「ブラックマイカメタリック×ターコイズブルーマイカメタリック」です。ダイハツの新型ロッキーと比較すると全体的に、落ち着いた色の印象がありあます。
ロッキースペックとライバル車との比較
ロッキーのスペック
ボディサイズ…全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mm
エンジン排気量…1000cc(ターボのみ)
最高出力…98ps/6000rpm
最大トルク…14.3kgm/2400~4000rpm
価格帯…約170~220万
先ほど、ロッキーのライバル車を紹介しましたが、この激戦区となるコンパクトSUVというジャンルは実にバラエティに富んだ特長ある車で占められています。同じような車ばかりと思う方もいるでしょうが、実はこのクラスを考えている人はさらにお得な軽自動車、或いは本格的なSUVや高級SUV、又はコンパクトカーも視野に入れているので、実に潜在的なライバル車が多いのです。
ライバル車の価格帯
・トヨタ…CH-R(約230万~300万)
・日産…ジューク(約200万~260万)
・ホンダ…ヴェゼル(約211万~290万)
・スズキ…エスクード(約280万) ※1.4ターボの1グレードのみ
・三菱…エクリプスクロス(約250万~300万)
これらの車と比較すると、価格はもちろんエンジン排気量の関係でもロッキーと厳密にはライバルとは言えない面もあります。上記のコンパクトSUVの多くはエンジン排気量が1500cc、ハイブリッドモデル搭載など高級SUVという側面も担っているからです。対するロッキーは排気量1000cc、高級グレードでも220万なので、ライバル車の廉価グレードと同程度となります。
そうなると、本当の意味では同じ軽自動車メーカー・スズキの1000ccモデルであるクロスビーやイグニス(厳密にはSUVではない)あたりが真のライバル車となります。特にクロスビーの価格帯は約180万~220万と諸にロッキーと被っていますし、エンジン排気量もまったく同じ1000ccのターボモデルで、パワーやトルクも瓜二つのように互角です。
個人的には、ダイハツ側はロッキーで、スズキのクロスビーやスペーシアギア(軽)のターゲットを奪いに来たと思っています。もちろん、エスクードやジムニーの客層も視界には入っているでしょうが、まずは前述した2台ではないでしょうか。
クロスビーにはハイブリッドが搭載されていますが、実質的な燃費は変わりないですし、新型であるロッキーの方が安全性能など先進技術では優っています。
また、小回りの利くSUVという事で、実用性も問題ありません。細い道や狭い駐車場の多い都市部でも、SUVに乗りたい!と思う人もターゲットに
まとめ
11月5日に発売されたばかりで、コミカルCMが話題となっている新型SUV・ロッキーについて知らべてみました。この車は、ダイハツがかつての名車の車名を再び用いる意欲作であり、打倒スズキ! 打倒コンパクトSUV市場! という熱意を強く感じさせます。
低価格ながらセンスが良く、外観のカッコ良さと燃費良さ、そして先進安全性能も満載なので、大ヒットする予感を漂わせています。この車によって、再び自動車業界が面白く魅力ある車を開発していく風潮になっていけば、ますます自動車好きには堪らなくて嬉しいかぎりですね。